糖尿病について
糖尿病について
皆さんご存知のように、糖尿病は決して珍しい病気ではありません。ただ、糖尿病患者さまのうち実際に治療を受けている人は約半数といわれています。これは、糖尿病であっても症状がほとんどない為に、治療の必要性を感じない人が多いからだと思います。
しかしこれは大きな間違いです。糖尿病を放置すると、体のなかで知らないうちに様々な臓器が障害を受けています。これはまるで体という家が、知らないうちにシロアリに食い荒らされている状況に似ています。家が傾いてからシロアリを駆除しても遅いように、糖尿病も症状が出る前に治療することが最も大切といえます。
当院では、糖尿病による様々な臓器障害の有無を調べると同時に、個々の患者さまにあった最適な治療を提案することを心がけています。
このようなときは
当院をご受診ください
(※症状がない方も
多数いらっしゃいます)
- 健康診断などで「血糖値が高い」と指摘された
- 喉がよく渇く、水をよく飲む
- 尿の回数が増えた、尿のにおいが気になる
- 体重が急激に増加、または減少した
- 最近、疲れやすくなった
- 満腹感が得られない(いくらでも食べられる)
- 手足がしびれる
- 足がむくむ
- 皮膚が乾燥してかゆい、皮膚にできものができやすくなった
- やけどやケガをしても、あまり痛みを感じない
- 切り傷やそのほかの皮膚の傷が治りにくい
- 視力が落ちてきた、目がかすむ
- 意識が混濁することがある
など
糖尿病の合併症について
糖尿病により様々な臓器が障害されることを「糖尿病の合併症」といいます。
合併症には急に生じるもの(急性合併症)と数年かけて生じるもの(慢性合併症)がありますが、特に重要なのが慢性合併症です。これは糖尿病が長年続くことにより、様々な血管で動脈硬化が進行し、血流不全が生じることにより発症するといわれています。
比較的太い血管で血流不全が生じた場合は、脳梗塞・狭心症や心筋梗塞・足の壊死等が生じますし、比較的細い血管で血流不全が生じた場合は、便秘や四肢のしびれといった神経障害・眼(眼底)の異常・腎不全等が生じます。
糖尿病治療において、これらの合併症を未然に防ぐ事が最も重要です。
糖尿病の状態が悪ければ悪い程、合併症は生じることが知られていますが、現在の糖尿病の状態を知るには、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値が重要です。
糖尿病が悪ければもちろん血糖値が上昇しますが、血糖値はその日その時の状態で同じ人でもかなり変動します。このため血液検査の血糖値をみても「たまたま今日だけ低い人」や、逆に「たまたま今日だけ高い人」がいるため、その人の普段の状態まで把握することは困難です。
そこでHbA1cを血液検査で測定するのですが、この値は約2か月分の血糖値を全てまとめて評価するような値です。つまり、HbA1cを1回測定すれば、その人の過去2か月分の血糖値(糖尿病)の状態が瞬時に分かるといって良いと思います。
このHbA1cを7%未満にすれば、合併症の進行は予防できると言われています(年齢等により多少HbA1cの目標値は変わってきます)。
当院ではHbA1cの結果を10分程で確認できる機器を導入しており、その日のうちに現在の糖尿病の状態を把握することが可能です。
糖尿病の治療について
残念ながら現在の医学では「これさえ飲んでおけば大丈夫」といった糖尿病のお薬はありません。すなわち、糖尿病の薬は色々ありますが、それに加えて(実際はそれ以上に)患者さま自身の努力が必要となってきます。具体的には食事療法や運動療法が必須となってきます。ただ逆に、必要以上の努力や達成不可能な努力をする必要は全くありません。当院では管理栄養士の指導のもと、適切で無理のない食事や運動の方法を指導しています。
また、糖尿病の薬には大きく分けて内服薬と注射薬があり、注射薬は基本的には自分自身での注射(自己注射)が必要となります。さらに注射薬にはインスリンとインクレチン作動薬の2種類があります。よくインスリンを注射中の患者さまから「週1回の注射薬に変更できないか」といった質問を受けますが、インスリンと週1回の注射薬(インクレチン作動薬)は全くの別物ですので、その患者さまにインスリンが必須な場合は残念ながら変更は不可能です。
内服薬・注射薬とも実に様々な種類があり、現在も日々新たな薬剤が開発されています。
個々の患者さまによって、合う薬・合わない薬があるため、この辺りの見極めが糖尿病専門医としての腕の見せ所であるといえます。特に自己注射が必要か否かは患者さまにとっても重要な分かれ道であると我々も理解しています。
当院では自己注射が必要でない患者さまにはなるべく内服薬での治療を、逆に自己注射が必須の患者さまにはなるべく負担のない注射薬を提案するよう心がけています。
近隣の医療機関の方々へ
当院では外来でのインスリン導入やインスリン量の調節を行う事が可能です。
他疾患で入院時に判明した糖尿病や、化学療法による糖尿病の悪化等にも当院で対応可能ですので、お気軽にお申しつけ下さい。